市立中学校柔道部に所属する生徒が夏期合宿に参加中に熱中症を発症して死亡した事故

2019.01.28 熱中症・自然災害

神戸地方裁判所平成22年5月19日判決

事案の概要

本件は、Aが被告の設置する神戸市立本件中学校の柔道部に所属し、平成17年8月1日から同月3日までの予定で兵庫県淡路市内で行われた柔道部の合同合宿に参加していたところ、同月2日に熱中症を発症して死亡するに至ったのは、本件中学柔道部顧問教諭らの過失によるものであるとして、Aの親である原告が、被告に対し、安全配慮義務違反の債務不履行又は国家賠償法1条1項による損害賠償を求めた事案です。

Aは、本件合宿当時、本件中学1年生として柔道部に所属していました。

Aは、本件合宿当時、身長約169センチメートル、体重約126キログラム、BMI指数44.1キログラム/平方メートルでした。

Aは、おおらかで明るく、まじめな性格であり、柔道部の練習を理由なく休むことはありませんでした。

また、Aは、柔道部の練習中、練習に集中しているときは、真剣に練習に取り組む一方、集中力が途切れると、「しんどい。」、「頭が痛くなりました。」などと言って休憩をとろうとすることがありましたが、B教諭と二言三言話をすると、「ばれました。」などと笑いながら言って、口実であることを認めており、また、練習を休む口実として病気であることを訴えることはありませんでした。

Aの体格や筋力は、同年代の者に比べて優れていたが、ランニングをしていてもすぐに他より遅れてしまうなど、持久力が不足していました。

B教諭は、4月1日から9月29日の予定で、本件中学に保健体育の教員(臨時任用講師)として赴任し、4月1日から同中学柔道部の顧問として活動し、C教諭は、4月1日、本件中学に数学の教員として赴任し、同日から同中学柔道部の副顧問として活動していました。

本件顧問教諭らは、4月1日ころの職員会議において、Aにつき、極度の肥満であるから健康上留意する必要がある旨の注意喚起を受けていました。

また、平成17年6月ないし7月ころには、本件中学の職員会議において、直射日光や高温多湿などの暑熱環境下での激しい運動によって、体温が上昇し、熱中症を発症するおそれがあること、熱中症の症状としては、頭痛やめまい、倦怠感、吐き気、顔色の悪化、筋肉痛とけいれん、顔の発赤、発汗停止、高熱、意識障害などがあり、応急処置として、全身を冷やし、塩分を含む水分の補給を行うよう注意喚起する旨の文書が配布されました。

本件合宿には、本件中学を含む複数の中学校の柔道部が参加していたほか、何名かの高校生や大学生も参加しており、参加総数は100人を超えていました。

8月1日、午前9時40分ころからの打込み練習から午前の練習が終了するまでの間及び午後1時30分ころからの打込み練習から午後の練習が終了するまでの間の各練習は、男女別の中学1年生と中学2、3年生の合計4グループに分かれて練習が行われ、Aは、男子の中学2、3年生グループに入って練習をしていました。

同日の練習中を通じて、Aは「しんどい。」などと言ってはいたものの積極的に練習に取り組んでおり、また、元立ち練習のほとんどにおいて、大学生、本件顧問教諭ら及び他の中学校の柔道部顧問がAの練習相手となっていました。

練習終了後、宿舎に戻ったAは夕食を早く食べ終え、お茶も人一倍飲んでいました。

疲れたようではありましたが元気そうであり、Aの様子に特段の異常はありませんでした。

8月2日、午前9時40分ころからの寝技練習から午前の練習が終了するまでの間及び午後1時30分ころからの打込み練習から午後の練習が終了するまでの間の各練習は、男女別の中学1年生と中学2、3年生の合計4グループに分かれて練習を行い、Aは、男子の中学2、3年生グループに入って練習をしていました。

Aは、午前6時15分にランニングを始めたときから動きが鈍く、声も出さずに疲れた様子でした。

また、8月1日の練習と同様に、寝技の乱取りや元立ち練習においては、大学生、本件顧問教諭ら、体の大きな中学生がAの練習相手となっていましたが、疲れが溜まっている様子で元気がなく、積極的に練習に取り組んでおらず、相手にかけられた寝技を外そうとしなかったり、相手に投げられると、そのまま寝転んで立ち上がろうとしないことが多々ありました。

Aは、午前中の元立ち練習で元立ちとして練習をしている最中に、B教諭に対し、「水を飲みたい。」と言ったことがありましたが、B教諭は、「元立ちに立っているのに、何言ってるんや。終わってから飲め。」と言って、水を飲ませませんでした。

Aは、1口程度しか昼食を食べておらず、そのことを知ったB教諭から、他に昼食を食べていなかった部員とともに、「何で食うてへんのじゃ。食わな練習ならへんのじゃ。」と竹刀で叩かれました。

午後1時55分ころからの元立ち練習においても、Aは積極的に練習に取り組もうとしなかったため、B教諭がAに教諭や大学生と練習させるなどしましたが、相手に投げられてもそのまま寝転んで、「しんどいです。」などと言って、立ち上がろうとしないことが多々ありました。

また、元立ち練習中に、Aが、C教諭に対し、「頭が痛いです、薬ありますか。」と言って、頭痛を訴えたことがありましたが、C教諭が「今、薬なんかないぞ。」と答えたところ、Aは、そのまま練習に戻りました。

C教諭は、Aが理由も言わずに練習に戻ったため、Aが休みたくて言い訳をしたと考え、特段の措置はとりませんでした。

午後4時30分ころ、他校柔道部部員2年生のKが、突然練習を中断してふらふらと歩いて座り込んだAに対して声をかけると、「インフルエンザみたい。」と言って寝転びました。

このときのAは、息が荒く、だらだらと汗をかき、顔色も赤かったため、Kは、Aが体力の限界であると感じました。

そこで、Kが、Aに練習の再開を促したC教諭に対して、「インフルエンザにかかっているようです。」と声をかけ、Aが、本件顧問教諭らに対し、「インフルエンザっぽいです。」と訴えました。

B教諭は、Aの顔が赤くなっていたものの、練習で赤くなっているものであり、言葉もはっきりと話しており、足取りもしっかりしていることから、Aが冗談を言っていると判断し、熱を測るなどのこともせず、「もうちょっとで練習終わるからがんばれな。」と言って、Aに練習を継続するよう指示しました。

一斉休憩の時間のほか、練習中も各自で水分補給を行うこととされており、Aも、練習中に、スポーツドリンクを飲むなどして、水分補給を行っていました。

練習終了後、午後5時30分ころになっても、Aは、柔道着を着替えないまま、横になって休んでいたため、C教諭が、Aに対し、着替えるように指示しました。

午後5時35分ころ、Aは、上半身が裸に柔道着を着ただけで、下半身が本件中学指定の半ズボンという姿であったため、C教諭が、Aに対して怒鳴りつけたところ、Aは、「体操服ありません。」と答えました。

そこで、C教諭は、Aに本件武道館内で体操服を探すよう指示したところ、Aは体操服を見付けることができず、C教諭がAの体操服を探したところ、本件武道館の畳の上の比較的目立つ場所に体操服が置いてありました。

午後5時40分ころからC教諭と本件中学の柔道部員らが本件武道館を出て宿舎に帰る途中、Aは、柔道部員らが飲み終えて空になったペットボトル10本前後をゴミ袋に入れて持ち帰っていたところ、ゴミ袋から取り出したペットボトルを手に持ち、頭を上に向けて、ペットボトルを口につけ、歩きながら空のペットボトルを飲もうとするなどの異常な行動をとっていました。

本件中学柔道部員2年生のLが「そんなに喉渇いとったんか。」と問いかけると、Aは、「こうやってみんなのを飲んでいるんです。」と答えました。

Aは、練習中に失禁していたため、宿舎に帰る途中、他の生徒に「おしっこ臭い。」と言われていましたが、本件宿舎に戻った後、ズボンをはきかえないまま、夕食会場に現れたため、C教諭に、ズボンをはきかえるよう指示されました。

午後6時30分ころから本件宿舎において食事を開始しましたが、Aは、疲れきった状態でお茶ばかり飲み、食事をとろうとしても吐き出してしまうなどして食べることができず、他の生徒が夕食を終えた後も、夕食を残しており、午後8時20分ころに夕食を食べ終えました。

Aが夕食を終えた後、午後8時30分ころから午後9時30分ころまでの間、B教諭は、本件宿舎1階のロビーにおいて、Aを正座させて、Aの練習態度と食事をとらないことについて、頬を叩いたり足で押し倒すなどして怒鳴りながら叱りつけました。

この間の午後8時50分ないし同55分ころ、Aは、Aが正座を続けるのを見守っていたC教諭に対し、足元に何もないのに、「ここにある水筒のふたが閉まっていないのです。」、「ペットボトルが置いてあるのです。それを閉めようと思って。」と発言するなど異常な言動がみられ、また、午後9時12分ころ、Aは本件顧問教諭らに対し、「頭痛いから返事できません。」、「保険証のコピーとってきていいですか。」などと言って、頭痛がすることを訴えたことがありました。

午後10時ころ、Aは入浴を開始しましたが、浴室内の風呂いすに腰掛けようとした際に、よろけて、左ひじを床につくようにして倒れました。

その後、風呂いすに座って、シャワーを浴びて頭を洗い、浴槽内の湯を体にかけ、浴室から脱衣所へ出てきました。

脱衣所へ出てきた際、Aの入浴を見守っていたC教諭が、Aの腹部が約2、3センチメートルの円形に赤くなっていたため、Aに対し、「へそ、赤いやんけ、その赤いのどないした。」と声をかけると、Aは、C教諭の前を通り過ぎながら、「ビューティフル、体、綺麗やろお。」と言い、すぐに、Aは、「あっ、先生でしたか、すみません。」と言いました。

その後、Aは、脱衣所内の扇風機の電源を入れて、これに対面して、下着姿のまま、壁にもたれて約5分程度立ち続け、C教諭が服を着るよう促しても、無言のまま動かなったところ、突然、壁にもたれながらずるずると崩れ落ちて床に座り込み、右手が細かくけいれんを始め、口からよだれをたらして意識を喪失しました。

C教諭から連絡を受けたB教諭は、Aを横に寝かせ、スポーツドリンクを飲ませるなどし、また、かけつけた他校の教員の指示により、午後10時35分ころ、C教諭が救急通報を行いました。

午後10時42分ころに救急隊が到着した際のAの体温は、41.2度で、意識レベルはJCS-30(呼びかけに対して、目を開けたり、体が反応したりするレベル)であり、同日午後11時10分に県立淡路病院へ搬送された時のAは、頻脈である一方、血圧が低下し、下顎でしか呼吸ができず、末梢血流が悪化しており、重度の危篤状態であり、Aの体温は、41.1度でした。

Aは、8月3日午前1時36分に死亡しました。

裁判所の判断

Aの死因について

裁判所は

  • 8月2日における本件武道館内の正確な温度及び湿度については必ずしも明らかではないが、本件武道館内に冷房設備はなく、洲本観測所における8月2日午前9時から午後5時までの気温(乾球温度)は最高で30.1度、最低で27.1度であり、湿度は最高で86パーセント、最低で73パーセントであったところ、財団法人日本体育協会が発行している「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」における熱中症予防の運動指針として、乾球温度24度ないし28度であれば要注意、同28度ないし31度であれば要警戒、同31度ないし35度であれば要厳重警戒とされており、また、乾球温度を指針とする場合には、湿度が高ければより注意が必要であるとされていることからすると、8月2日の練習中、本件武道館の窓や玄関が開放されており、風通しは良かったことを考慮しても、本件武道館内は、運動を行う際には熱中症の発症に注意を要する高温多湿の暑熱環境にあったと推認することができる。
  • Aは、BMI指数が標準を大幅に超えている肥満体質であり、ランニングが不得意であるなど十分な体力を有していなかったものであるところ、8月2日午前6時から午後5時まで、食事休憩や5分間の全体休憩を挟みながら断続的に柔道の練習を継続しており、その練習中に多量に発汗している上、頭痛が生じており、インフルエンザみたいと訴えるなどその体温が著しく上昇していたこと、午後10時42分ころに救急隊が到着した際のAの体温が41.2度と異常な高温であったことが認められる。
  • 8月2日の練習終了以降、午後5時30分ないし同35分ころ、容易に見付けられるはずの体操服を見付けられなかったこと、午後5時40分ころ、他人の飲み干したゴミ袋内の空のペットボトルを取り出して、これを飲もうとしていること、午後6時30分ころ、失禁したズボンをはきかえないまま夕食会場に現れていること、午後8時50分ころないし同55分ころ、足元に何もないのに、水筒やペットボトルが置いてあるかのような発言をしていることが認められ、これらの言動のいずれについてもふざけて行っていることは窺われず、さらに、午後10時過ぎころに意識喪失に至っていることをも併せ考えると、熱中症の症状の一つである意識障害が継続しており、かつ、時間の経過に伴って、失見当識から異常言動、せん妄、意識喪失へと意識障害が段階的に進行しているということができる。
  • 検査結果によれば、肝機能・腎機能障害が生じていること、骨格筋や心筋の障害が生じていることなどの熱中症の生理学的所見がみられる。

と事実認定した上で、

「Aは、熱中症を発症するおそれのある体格であり、8月2日の練習中から意識喪失に至るまで熱中症に合致する症状ないし生理学的所見がみられる一方、その解剖所見によれば、循環障害や意識障害を生じさせる外傷や内因性疾患、感染症が認められないことからすると、F医師、M医師、N医師、O医師が診断するとおり、Aは、本件武道館内での柔道の練習による大量の発汗と異常な体温の上昇によって熱中症を発症し、遅くとも、「インフルエンザみたい。」と高熱を訴えた午後4時30分ころから練習が終了する午後5時ころには重度の熱疲労から中軽度の熱射病の状態に陥り、午後10時ころ、熱射病による循環障害・意識障害が生じて意識消失に至り、循環不全によって死亡したものと認めるのが相当である。」

と判断しました。

本件顧問教諭らの過失の有無について

本件訴訟では

「学校の教師は、学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負うものであり、課外の部活動であっても、それが学校の教育活動の一環として行われるものである以上、その実施に際して生徒の生命、身体に危険が及ばないように配慮すべき注意義務を負っていると解されるところ、本件合宿が本件中学柔道部の部活動の一環であり、本件顧問教諭らが、柔道部員に熱中症が疑われる症状がみられた場合に、直ちに練習を中止して、涼しい場所で安静にさせ、冷却その他の体温低下処置などの応急処置をとり、必要に応じて、速やかに医療機関に搬送すべき義務を負っていた」

という点については当事者間に争いがなかったため、8月2日午後4時30分ころから午後5時ころまでの間に、本件顧問教諭らにおいて、Aが熱中症を発症したことを認識・予見できたかどうかについて検討されました。

この点について、裁判所は

  • Aは、本件武道館内での柔道の練習による大量の発汗と異常な体温の上昇により熱中症を発症して、遅くとも8月2日午後4時30分ころから練習が終了する午後5時ころには重度の熱疲労から中軽度の熱射病の状態に陥ったものと認められるところ、8月2日午後4時30分ころ、Aは、練習中に突然座り込み、本件顧問教諭らに、「インフルエンザっぽいです。」と言っていることが認められ、このとき、本件顧問教諭らに対し、高熱を伴う体調不良であることを訴えているということができる。
  • 8月2日における本件武道館における柔道練習は暑熱環境下の運動であると認められるところ、AがB教諭に対して元立ち練習中に「水を飲みたい。」と訴えたことがあったように、本件顧問教諭らにおいては、Aを含む本件合宿に参加して練習する生徒が熱中症の原因となる脱水症状に陥るおそれがある状況にあることは十分に認識予見できたというべきであり、また、Aは、8月2日午前9時ころから準備運動を含め断続的に柔道練習を行っており、さらにその練習中は、柔道上級者である大学生や柔道部の顧問教諭と組み合って練習することが多かったのであるから、8月2日午後4時30分ころにAから「インフルエンザみたい。」と訴えかけられた本件顧問教諭らにおいては、激しい全身運動によりAが疲労しており、その体温が著しく上昇している可能性があることを十分に認識予見できたということができる。
  • 財団法人日本体育協会が発行する「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」という冊子(平成11年4月26日発行)において、暑熱環境下での運動による発汗と体温上昇によって、熱中症が発症するおそれがあるので注意を要することや熱中症の症状及びこれに対する応急処置についての記載がなされていること、平成17年6月ないし7月ころ、本件中学の職員会議において、暑熱環境下での激しい運動による熱中症発症のおそれや熱中症の症状、これに対する応急処置について記載された文書が配布されていることからすると、B教諭が熱中症の危険性や症状、応急処置についての認識を有していたとおり、本件合宿当時、熱中症の危険性や症状及びこれに対する応急処置は、運動部の顧問として生徒の指導に当たる教員においては通常有している知識であったということができるし、また、有しておかなければならない知識であったというべきである。

とした上で、

「そうすると、運動部の顧問である本件顧問教諭らにおいては、Aからインフルエンザみたいであるといって高熱を伴う体調不良であることを訴えられたことにより、熱中症を発症する危険性のある暑熱環境下での激しい運動中に、Aが熱中症の症状と合致する症状である発汗と体温上昇を呈している状態にあることを認識し得たのであるから、Aが暑熱環境下での激しい運動によって熱中症を発症していることを疑うことができたと認めるのが相当である。」

として、

「Aが熱中症を発症していることを疑い得る状況にあった本件顧問教諭らは、Aの熱中症を悪化させて、その生命に危険を及ぼす重度の熱射病に至らしめることのないように、熱中症の脱水症状と体温上昇に対処するための応急処置として、直ちにAの練習を中止させ、水分及び電解質の補給と体温の低下のための処置をとるべき注意義務を負っていたにもかかわらず、Aに対して何らの措置をとることもなく、練習を継続させたのであるから、本件顧問教諭らには、上記注意義務違反の過失が存することは明らかである。」

と判断しました。

顧問教諭らの過失とAの死亡との因果関係について

そして、裁判所は

「熱中症に対する応急処置としては、体温を低下させ、水分及び電解質を補充させることが重要であるところ、Aがインフルエンザみたいと言った8月2日午後4時30分ころは、いまだ目立った異常言動はみられず、意識障害に陥っているものではないと考えられること、F医師が、救急通報していれば助かったと思われる時期について、特定はしかねるが、練習終了後から意識喪失までの間ではないかと思うと述べていること、M医師が、8月2日午後9時から午後9時30分ころまでの食事を終えて、本件顧問教諭らがAに対して説教を始めたころに医師の診察を受けて適切な処置がなされていれば、死亡は避けられたと述べていること、O医師が、インフルエンザみたいと言ったときに休養させたり、医師の診察を受けさせておれば、死に至ることはなかったし、説教を始めたころであれば、救急通報して医師の診察を受けさせていれば、救命できていた可能性が否定できないと述べていることからすると、8月2日午後4時30分ころに体温を測定し、Aの体を冷やして水分及び電解質の補給を図るとともに、症状の改善がみられなければ医師の診察を受けさせるなどの応急処置をとっていれば、Aを救命することができたと認めるのが相当である。」

として、

「本件顧問教諭らの過失とAが死亡したこととの間には相当因果関係があるというべきである。」

結論

以上より、裁判所は、

「本件顧問教諭らは、公立中学校での教育活動における注意義務を怠り、その結果、Aが死亡するに至ったものであるから、公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うについて、過失により違法に損害を加えたものというべきである。

したがって、被告は、国家賠償法1条1項に基づき、上記違法行為によってAを死亡させたことにより生じた損害を賠償すべき責任を負うものと解するのが相当である。」

と結論づけました。

熱中症についての正確な知識を身につけるべき

本件では、職員会議において、熱中症に対する注意喚起が行われていました。

しかし、そのわずか1、2か月後に、本件の事故が発生しました。

しかも、被害生徒には熱中症による体調不良や意識障害に起因する異常な言動が見られるにもかかわらず、誰1人として熱中症を疑った者が他校の教諭や高校生・大学生を含めていませんでした。

熱中症の事故を防ぐためには、熱中症についての正確な知識を身につけることが最低限必要なことだと思います。

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