バドミントンでの事故で約1300万円の支払いを命じた東京高裁判決に対する世間の反応に思うこと

2018.11.26 弁護士コラム

東京高裁判決に対する世間の反応

平成30年9月12日、東京高裁は、バドミントンのプレー中に、ペアのラケットが目に当たり負傷した事故について、加害者に対して、約1300万円の損害賠償を命じました。

詳しい状況については「バトミントンのペアを組む被告のラケットが原告の左眼に当たり受傷した事案」を参照していただければと思います。

第一審の東京地裁が被害者側の過失として4割を認めていたのに対し、東京高裁は加害者側に全責任を認めました。

この東京高裁判決はニュースやワイドショーでも大きく報道されました。

そして、それを見た世間の反応も

  • スポーツはけがが付き物だから、けがをする可能性は十分に予測できる。
  • 被害を受けたのだから損害賠償が認められるのは当然である。

といったものから

  • バドミントン経験者だか、これはおかしいと思う。
  • 加害者が全責任を負わされるようなら、安心してスポーツができない。

など、賛否両論ありました。

中には

  • これがまかり通ったら日本のスポーツは弱体化する。

と発言したテレビ番組のMCもいたようです。

私の印象では、東京高裁判決を批判する声のほうが大きいように思います。

確かに、スポーツ中にけがをさせた場合に、全責任を負わされ、多額の賠償金を支払わなければならなくなるというのは納得できないと思います。

これが交通事故なら?

では、視点を変えて、これが交通事故だったらどうでしょうか?

同乗者を助手席に乗せてドライブしていた最中に第三者と衝突事故を起こしてしまい、同乗者が目を負傷し、約1300万円の損害が発生したとします。

この事故に関してはあなた自身にも1割の過失があったとしましょう。

この場合、あなたは同乗者に対してどのくらいの責任を負うことになるでしょうか?

答えは、原則として「100%」です。

これは、あなたと第三者が交通事故を起こしたという共同不法行為により同乗者に損害が発生した場合には、あなたと第三者が連帯して同乗者に対する損害賠償責任を負うことになるからです。

では、「第三者の方が9割の過失があるのに、同乗者に対して全責任を負わなければならないというのであれば、安心して車の運転なんてできない。」と考えるでしょうか?

おそらくほとんどの方々がこのようなことは考えないと思います。

むしろ、「自動車保険をかけているから損害保険会社が賠償金を支払ってくれる。自分は支払う必要はない。」と思うのではないでしょうか。

保険加入の必要性

バドミントンの事故に関する東京高裁判決の報道を見て、これを批判的に受け止めた方々は、ご自身がスポーツ中に被害者にけがをさせてしまった場合に、被害者に多額の賠償金を支払わなければならなくなることを恐れたのではないでしょうか。

そのこと自体はごく自然な考えだと思います。

しかし、「そのような事態に陥った場合に備えなければ」と考える必要もあるのではないでしょうか。

このようなケースでも対処できるようにすることが「保険」です。

先ほど述べたように、自動車を運転中に事故を起こしてしまい被害者に対して多額の損害賠償金を支払わなければならなくなった場合に備えて自動車保険に加入しているように、スポーツ中に事故を起こしてしまい被害者に対して多額の損害賠償金を支払わなければならなくなる場合に備えて、保険に加入しておく必要があるのです。

実は既に加入しているかもしれない

では、どのような保険が考えられるでしょうか。

「スポーツ中の事故だから、スポーツ保険でしょ?」と考える方は多いと思います。

もちろん、スポーツ保険は該当します。

これをより正確にいうと、スポーツ保険の補償内容の1つである「賠償責任保険」がこれに当たります。

これは、スポーツ中の事故により被害者に損害を負わせてしまい、その賠償をしなければならなくなった場合の保険です。

実は、この「賠償責任保険」については、既にあなた自身も加入しているかもしれないのです。

「個人賠償責任保険」に加入しているという方もいらっしゃると思いますが、これ以外にも、既にあなたが加入している自動車保険に「個人賠償責任特約」が含まれていることがあります。

つまり、自動車保険に加入する際に「人身傷害保険特約」や「弁護士費用特約」と一緒に「個人賠償責任特約」を付けているかもしれないのです。

この個人賠償責任特約は、

  • 自転車で相手にぶつかってけがをさせた
  • 子供が他人の家の窓ガラスを割ってしまった
  • 散歩中に、飼い犬が他人に噛み付いてケガをさせてしまった

などの他に、

  • スポーツ中に相手にけがをさせてしまった

というものも含まれています。

このことから、仮にスポーツ中にけがをさせてしまい、損害賠償責任が認められたとしても、あなたが加入している自動車保険に個人賠償責任特約が付いていれば、保険会社が賠償金を支払ってくれることになります。

最後に

スポーツ中にけがをさせてしまうことは当然にあり得ることです。

このような場合に、被害者に対してあなた自身が損害賠償金を支払わなければならないということであれば、安心してスポーツをすることができないと考えることでしょう。

しかし、個人賠償責任保険(特約)により保険会社が損害賠償金を支払ってくれるとしたら、安心してスポーツをすることができるのではないでしょうか。

交通事故を起こさないように注意して運転することは当然として、仮に事故を起こしてけがをさせてしまった場合でも、保険会社が損害賠償金を支払ってくれると思い、安心して自動車の運転をしているように。

この記事をお読みいただき次第、ご自身が個人賠償責任保険に加入しているかどうか、加入している保険に個人賠償責任特約が付いているかどうかを確認していただければと思います。

そして、個人賠償責任保険(特約)は、スポーツに限らず、日常生活のあらゆる場面で損害賠償責任を負った場合の保険ですので、加入を検討してみてはいかがかと思います。

Contact

お問合わせ

お電話でのお問い合わせはこちら

092-409-9367

受付 9:30~18:00 (月〜金)
定休日 土日祝

フォームでのお問い合わせはこちら

Contact Us

Top