実刑と執行猶予の違い

2018.10.06 弁護士コラム

テレビのニュースで「懲役○○年の実刑判決を受けました。」とか「懲役〇年、執行猶予〇年の有罪判決を受けました。」などという報道がなされています。

この「実刑」と「執行猶予」の違いについては、あまり詳しくはご存知でない方が多いようですので、説明したいと思います。

執行猶予とは

執行猶予というのは、刑事裁判の被告人が判決を受ける際、一定の期間中に、他の刑事事件を起こさないことを条件として、判決の執行を猶予する制度です。

例えば、「懲役2年・執行猶予4年の有罪判決」という場合、「とりあえず、すぐには刑務所に入らなくていいし、4年の間に他の事件を犯さなければ、懲役2年の刑もなかったことにしてあげよう。」ということを意味しています。

このような執行猶予の趣旨は、被告人を刑務所に収監するのではなく、社会内での更生を図るという点にあります。

簡単にいうと、「罪を犯したことについての責任は重い。しかし、二度と罪を犯さないのであれば、今回に限って許してあげよう。」ということです。

このような執行猶予がつかない有罪判決、つまり「今すぐに刑務所に入りなさい。」というのが「実刑判決」ということになります。

ただ、この「実刑」というのは法律用語ではありません。

執行猶予の期間

執行猶予の期間は、1年以上5年以下と決められています。

したがって、「執行猶予6年」という判決は存在しません。

執行猶予期間が長ければ長いほど、執行猶予付き判決の中では重い判決ということになります。

執行猶予が付される場合

どのような場合に執行猶予がつくかですが、執行猶予は「懲役3年以下もしくは50万円以下の罰金」の場合にしかつけることができません。

したがって、「懲役4年・執行猶予5年」という判決は存在しないことになります。

また、執行猶予を付けることができる被告人としても、

  • 以前、禁固刑以上の刑に処せられたことのない人物(例えば、初犯や、前科があっても罰金刑のみだった場合)
  • 以前、禁固刑以上の刑に処せられた人物でも、その刑の終了から5年以内に禁固刑以上の刑を受けてない人物(例えば、以前、禁固刑以上の判決を受けても刑の執行が終わり、その後5年間別の犯罪で禁固刑以上の判決を受けていない場合

には、執行猶予を付けることができます。

ただし、執行猶予はあくまでも裁判官の判断によりつけるかつけないかを決めるものであって、必ず執行猶予がつくというわけではありません。

したがって、初犯であり、懲役1年の刑に処せられる場合でも、執行猶予がつかずに実刑判決となることもあります。

執行猶予の取り消し

どのような行為を行ってしまうと執行猶予が取り消されてしまうかについては、まず、執行猶予中に禁固刑以上の刑を処せられてしまうと、情状の余地なく執行猶予が一発で取り消しになります。

また、執行猶予中に罰金刑を処せられてしまった場合でも、執行猶予が取り消されてしまう可能性があります。

執行猶予が取り消されてしまった場合には、判決で言い渡された刑罰が直ちに執行されることになります。

さらに、執行猶予が取り消される原因となった犯罪についても有罪判決を受けることになります。

例えば、「懲役2年・執行猶予3年」が言い渡された後、その執行猶予期間中に再び罪を犯してしまい、刑事裁判で新たに「懲役1年」の有罪判決を受けた場合、この「懲役1年」の刑罰と、以前に受けていた「懲役2年」の刑罰が合算されることにな、合計3年間刑務所に入ることになります。

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