元夫・元妻が再婚した場合に養育費は減額・免除されるか

2018.10.05 弁護士コラム

夫婦が離婚する際、夫婦間に未成年の子供がいる場合には、どちらが親権者になるかを決める必要があります。

そして、親権者とならない親は、親権者である親に対して、子供の養育費を支払うことになります。

では、離婚した後に、元夫もしくは元妻が再婚することになった場合、養育費は減額・免除になるのでしょうか。

この問題については誤解をされている方が多くいらっしゃいますので、解説していきたいと思います。

ここでは、子供の親権者には母親がなり、父親が養育費を支払うことになったという一般的なケースを前提とすることにします。

元妻が再婚した場合

再婚した事実があれば養育費が減額・免除になるのか

離婚から数年後に元妻が再婚しました。

それを機に、元夫との間の子供も新しい夫と一緒に暮らすようになりました。

この場合、「元妻と子供は新しい夫から養ってもらっているのだから、養育費を支払う必要はなくなった。」と思うかもしれません。

しかし、実はこの考えは間違いで、元妻が再婚した事実だけでは養育費が免除になるわけではありません。

元夫が養育費を支払わなければならない法律上の根拠は「直系血族及び兄弟姉妹は,互いに扶養をする義務がある。」という民法877条1項です。

直系血族とは、祖父母、父母、子、孫などです。

そして、親子関係には血縁関係上の親子と養子縁組による法律上の親子があります。

つまり、新しい夫と子供とが養子縁組をした場合には、法律上の親子関係が成立し、その結果、養親は養子を扶養する義務が生じることになります。

逆に、養子縁組をしていない場合には、法律上の親子関係が成立しませんので、法律上の扶養義務は発生しないということになります。

したがって、元妻が再婚した事実だけでは、元夫が養育費の支払いを免除されるわけではなく、引き続き養育費を支払う必要があります。

新しい夫と子供が養子縁組をした場合

養子縁組をすると新しい夫と子供の間には法律上の親子関係が成立します。

これにより、子供を扶養するべき父母は、元妻(実母)と元夫(実父)だけでなく新しい夫(養父)ということになります。

この場合、第一次的に子供を扶養する義務は、新しい夫(養父)と元妻(実母)になります。

そして、新しい夫(養父)に経済力があり、子供(養子)を養っていける場合には、実父は養育費の免除や減額を請求することが可能となります。

ただし、新しい夫(養父)に子供(養子)を養っていくだけの経済力がない場合には、実父は引き続き養育費を支払わなければならないことがあります。

元妻が再度離婚した場合

元妻が再婚して、子供と新しい夫が養子縁組をしていたとしても、元夫が子供を扶養する義務が消滅したわけではありません。

ただ、元妻が新しい夫と再度離婚したからといって、それだけで子供と新しい夫の法律上の親子関係が解消されるわけでもありません。

法律上の親子関係も解消するためには、養子縁組を解消する必要があります。

大半のケースでは、離婚と同時に子供との養子縁組も解消するのですが、中には子供との親子関係だけでも継続したいという養父もいます。

したがって、元妻が再度離婚しただけでは、養育費の減額・免除に変化は生じないことになります。

元妻が離婚し養子縁組も解消した場合

元妻が離婚し、養父との養子縁組も解消された場合には、養父の子供に対する扶養義務はなくなりますので、再度、実父が第一次的な扶養義務者となります。

もし養子縁組を理由に養育費が免除されていた場合には再度養育費を支払う必要が出てくることになり、養育費が減額されていた場合には逆に増額を請求することになります。

養父と元妻の経済状況が悪化した場合

元妻が再婚し新しい夫と子供が養子縁組をした結果、実父として支払っていた養育費が減額・免除になったと安心している方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、元妻の再度の離婚とそれに伴う養子縁組の解消のほかにも、養育費の支払いを再開・増額しなければならないケースがあります。

それは、養父と元妻の経済状況が悪化した場合です。

実父の養育費が減額・免除になったのは、養父に経済的があり、子供を養っていくのに十分だと考えられたからにほかなりません。

しかし、例えば勤務先の倒産や病に倒れたなどの理由で養父の経済状況が悪化した結果、子供を養っていくことができなくなることもあります。

そうなると、第二次的な扶養義務者である実父が不足する分の養育費を支払う義務が発生することになります。

元夫が再婚した場合

再婚した事実があれば養育費が減額・免除になるのか

養育費を支払う元夫が再婚することも当然あります。

しかし、再婚したという事実だけでは、養育費が減額・免除になるわけではありません。

子供との扶養義務に影響を与えることにはならないからです。

元夫が再婚し、再婚相手との間に子供ができた、もしくは養子縁組をした場合

元夫が再婚した後、再婚相手との間に子供ができた場合や、再婚相手の子供と養子縁組をした場合には、元夫が扶養するべき子供が増えることになります。

したがって、この場合には元妻との間の子供に対して支払う養育費の減額事由にあたります。

元夫が再度離婚した場合

元夫が再度離婚した場合に、再婚相手の子供との間で成立していた養子縁組を解消した場合には、元夫が扶養するべき子供が減ることになります。

したがって、元妻との間の子供に対して支払う養育費が増額になることがあります。

これに対し、再婚相手との間に子供ができていた場合には、たとえ再度離婚したとしても再婚相手との子供との親子関係は解消されませんので、養育費が増額になることはありません。

自動的に養育費が減額・免除になるのか

このように、元夫・元妻が再婚したという場合でも、子供との関係がどのように変化したかによって養育費が減額・免除になるか否かが決まってきます。

では、養育費が減額・免除になるケースに当てはまる場合には、自動的に減額・免除になるのでしょうか。

この点についてもとても誤解のですが、実は、自動的には減額・免除にはなりません。

あくまでも元夫婦間での話し合いが必要であり、もし話し合いがつかない場合には、家庭裁判所における養育費減額調停や審判が必要になります。

たまに散見されるのが、元夫が元妻に対して「再婚して子供ができた(養子縁組をした)から養育費は支払わない(〇万円に減額する)。」といった文書を郵便で送ってくるケースです。

中には、内容証明郵便で発送しているケースもあります。

しかし、このような文書は元夫からの一方的な要求にすぎず、元妻が元夫からの要求に必ず従わなければならないわけではありません。

したがって、このような文書を一方的に送りつけたとしても、養育費が減額・免除になるわけではないということに注意が必要です。

養育費減額の調停・審判を申し立てれば必ず養育費が減額・免除になるのか

元妻との間で話し合いがつかない場合に、家庭裁判所に養育費減額の調停を申し立てれば、必ず養育費は減額・免除されるのでしょうか。

実は、必ずしも減額・免除されるとはかぎりません。

養育費の金額は、子供の人数・年齢、養育費の支払義務者の収入額、養育費の権利者の収入額によって定められます。

そして、その基準となるのは、あくまでもその話し合いが行われている時点です。

つまり、離婚したときにおける子供の人数・年齢、支払義務者の収入額、権利者の収入額をもとに養育費の金額を決めていたとしても、時間が経過したことにより、子供は当然成長していますし、支払義務者・権利者の収入にも変化が生じている場合があります。

また、離婚した際に決めた養育費の金額が低く設定されていた場合には、さらなる減額・免除にはならないこともあります。

養育費の減額・免除を求めることができるような事情が生じていたとしても、実際には養育費が減額・免除にはならないこともありえるということを認識しておくことが必要です。

まとめ

このように、離婚した際に決めた養育費の金額は、その後の再婚や養子縁組などの事情で減額・免除となることがあります。

しかし、いったん減額・免除になったとしても、その後の事情の変化で増額になることもあります。

ただ、養育費の減額や免除で最も影響を受けるのは子供です。

親の事情で子供につらい思いをさせないようにするのが子供に対する親のつとめだということを決して忘れないでいただきたいと思います。

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