スキー場をスノーボートで滑走していた原告が上方(後方)から滑走してきた被告と衝突・転倒して負傷した事案

2018.10.13 スポーツ中の事故

さいたま地方裁判所熊谷支部平成30年2月5日判決

事案の概要

本件は、Aスキー場のコース上をスノーボードで滑走していた原告が、原告の上方(後方)から滑走してきた被告と衝突、転倒して負傷したと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。

裁判所の判断

被告の過失について

裁判所は、

「スキー場において上方から滑降する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う(最高裁平成6年(オ)第244号同7年3月10日第二小法廷判決・集民174号785頁参照)。」

とした上で、

「本件においては、本件事故現場手前には斜度が変化する箇所があり、斜度が緩やかな箇所を滑走している者から見て、斜度が急になった先の見通しは良くないのであるから、斜度が緩やかな箇所から急な箇所に向かって滑走する者は、適宜速度を調節して下方を滑走する者の有無を確認するとともに、下方を滑走している者を発見した場合には、速やかに進路を変更するなどして衝突を回避すべき注意義務がある。」

「被告は、前方の見通しが悪いにもかかわらず、十分に速度を落とさないまま斜度が変化する箇所を通過し、前方を走行する原告の発見が遅れて進路変更、緊急停止措置などの措置を採らなかったため、原告と衝突したものと認めることができる。

そして、本件事故当時は降雪していたものの、被告本人も15メートルから20メートル離れた場所に原告を発見した旨の供述等をしていることに照らせば、下方を見通すことはできたと認められる。

したがって、本件事故当時、被告が速度を調節し、また前方を注視していれば、下方を滑降している原告を発見したうえで原告との接触を避けるための措置を採ることができ、原告との衝突を回避することができたというべきである。」

として

「以上によれば、被告には、前記注意義務違反の過失が認められる。」

と判断しました。

過失相殺の可否について

他方で、原告の過失につき、裁判所は

「スキー場において上方を滑走する者は、下方を滑走する者の動静を注視することができるが、下方を滑走する者は、通常、上方の状況を確認することは困難であるから、上方を滑走する者に衝突事故の発生を防止すべき高度の注意義務が課せられるというべきである。」

とした上で、

「本件事故態様は、原告がレギュラースタンスでターンを繰り返しながら滑走していたところ、右にターンしようとしたところで後方から被告に追突されたというものであり、原告において、スノーボードを下方に真っ直ぐ向けた状態で高速で滑降してきた被告を事前に発見し衝突を回避することができたとはいえない。

他方において、本件事故に至るまでの原告の動きはスノーボーダーとしてごく一般的なもので、被告において予測しがたいものではないから、本件事故はもっぱら被告の過失によるものであると認められる。」

として、

「よって、本件事故について原告に過失は認められない。」

と判断しました。

レジャーでの事故でも損害賠償責任が発生します。

冬になると、スキーやスノーボードといったウィンタースポーツを楽しみたいと思っていらっしゃる方々も多いことでしょう。

しかし、スキー場での事故も多く発生しています。

特に、お客さん同士の衝突事故は頻発しているといえるでしょう。

お互いがそれほど大きなけがをしていなければ、その場で謝罪して済ませているケースも多いかもしれません。

しかし、衝突した際の衝撃によっては、大きな被害が生じることもあります。

特に、上方から猛スピードで滑ってきて衝突したような場合には相手は無防備であることが多いです。

また、スキー板やボードを足に装着しているために十分な防御ができないこともあります。

遊びのつもりが大きな事故を起こしてしまい、損害賠償の責任を負うことになってしまいます。

くれぐれもご注意いただきたいと思います。

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